病気の原因となる遺伝子変化を探し出す
次世代シーケンサーという遺伝子の配列を解読する装置によって、ヒトの遺伝子配列を一度に読むことができるようになりました。この技術を用いて、当カジノ オンライン
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やメディカル・ゲノムセンター (MGC) と協力して、筋疾患患者さんの遺伝子配列を解読しています。 人はそれぞれ顔や背の高さが異なりますが、これはそれぞれの人が数万にもおよぶ遺伝子配列の違いを持っているからです。 患者さんで見つかるたくさんの遺伝子配列の違いの中で、たったひとつの遺伝子の変化こそが、病気を引き起こす変異です。
私たちは、患者さんで見つかったたくさんの配列変化から、病気を引き起こす変異を特定しています。 そのため、 ゲノム編集技術を使って細胞やマウスに遺伝子変異を導入して、疾患モデル細胞や疾患モデルマウスを作っています。もし疾患モデルが患者さんと同じような症状を示せば、この遺伝子変化こそが病気を引き起こす変異であると考えられます。遺伝子変異と症状との関係がわかれば、 どのように病気が引き起こされるかを理解する手がかりとなります。病気を引き起こすメカニズムがわかることが、 治療法の開発につながります。
コアミオパチーを引き起こす
原因遺伝子の発見
私たちは「筋原線維性ミオパチー」の原因遺伝子を特定しました。筋原線維性ミオパチーは、骨格筋の力を発生させる装置である筋原線維が壊れる病気です。筋原線維の一部が壊れ、 コア (芯) のように観察されることから、コアミオパチーとも呼ばれます。今回、高齢発症のコアミオパチー患者で新たにACTN2遺伝子に変異を発見しました。遺伝子操作により細胞モデルを作製し、変異分子の特徴を調べることで、見つけた遺伝子変異が病気を引き起こす可能性を示しました。さらに、結晶構造に基づく構造モデルで変異の影響を調べました。正常α-アクチニンでは変異残基の480番目のアスパラギンは460番目のアスパラギンと結合することで構造を安定化しているのに対し、480番目がセリンに代わると結合できず、 構造が不安定になることがわかりました。このように多角的に遺伝子変異の影響を調べることで、病気の仕組みが明らかになります。
私たちは今後も様々な筋疾患の原因遺伝子変異を特定し、どのように病気が引き起こされるのかを解明していきます。さらに、この成果を治療法開発につなげていきます。
図2:筋細胞(筋線維) および筋原線維の構造。筋原線維のアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが滑ることで、力が発生する。α-アクチニン2はZ線においてアクチンフィラメントを束ねている。 下: α-アクチニン結晶構造モデルでの変異アミノ酸 (480) の相互作用の変化
リファレンス
- Inoue M, Noguchi S, Sonehara K et al. A recurrent homozygous ACTN2 variant associated with core myopathy. Acta Neuropathol (2021) 142 (4), 785-788.
- Yamazawa T, Kobayashi T, Kurebayashi N et al. A novel RyR1-selective inhibitor prevents and rescues sudden death in mouse models of malignant hyperthermia and heat stroke. Nat Commun. (2021) 12 (1), 4293.
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記事初出
「Annual Report 2021-2022」(2022年12月発行)
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