ヒトに近い
自閉症モデル動物開発への期待
自閉スペクトラム症 (自閉症) は社会性・コミュニケーショ ンの障害と、こだわりの強さ、くりかえし行動を特徴とする発達障です。自閉症はおおよそ3歳で診断され、2021年の米国の報告では有病率は2%を超えているといわれています。それにもかかわらず、自閉症の主症状に対する有効な治療法はまだ見つかっていません。
さて、ヒトの疾患における病態理解や治療法開発のために、その疾患を持つ動物 (モデル動物) は大変大きな役割を果たしてきました。また、ヒトの疾患を理解するためには、マウス・ラット(げっ歯類) よりも、ヒトに近い霊長類 (サル)を使うほうが望ましいと考えられています。
自閉症に関しては、1996年に遺伝子操作による初めての自閉症モデルマウスが作成され、その後、次々とげっ歯類の自閉症モデルが作られました。しかし、自閉症の治療法開発にはまだ大きな進展がみられていません。そこで、げっ歯類よりもヒトに似たサルを用いた自閉症モデルの作成が注目されるようになり、世界中で開発が始まりました。
世界初の自閉症モデルマーモセット
開発に成功
私たちは、この世界的な流れを受けて2010年からマーモセットという南米の小型サルの自閉症モデル開発を始めました。抗てんかん薬であるバルプロ酸の母体暴露が自閉症のリスクをあげるという報告にヒントを得て、同様の処置を母マーモセットに行って作成を試みました。マーモセットはげっ歯類に比べて世代交代が遅いため開発には時間がかかりました。しかし、私たちはついに自閉症モデルマーモセットの作成に世界で初めて成功し、2021年に国際誌『Nature Communications』にカジノ オンライン
成果を発表しました。更に詳しい解析を行ったところ、今回開発したモデルマーモセットの脳の遺伝子発現異常はアメリカのハーバード大学などで調べられたヒト自閉症のそれとそっくりであることがわかりました。これは、これまでげっ歯類で作成されたモデルマーモ セットでは到達できなかった正確さでした。
このモデルマーモセットで開発された薬はヒトで効果がいことが期待されます。また、今後ヒト自閉症のより正確な病態を明らかにするなど新しい自閉症カジノ オンライン
への扉が開かれると期待されます。
図２：遺伝子発現異常はヒト自閉症と自閉症モデルマーモセットとよく似ている (左)。しかし、自閉症モデルラットのそれはヒト自閉症とは、少ししか似ていない (右)。縦軸: 両図ともヒトの遺伝子発現異常値、横軸: 左図は自閉症モデルマーモセットの遺伝子発現異常値、右図は自閉症モデルラットの遺伝子発現異常値
リファレンス
1.プレスリリース 2021年9月16日
「世界初自閉スペクトラム症モデルマーモセットの開発に成功 治療薬開発 のイノベーションに期待―」
//www.researchhollywood.com//www.researchhollywood.com/topics/2021/20210916p.html
2. Watanabe S, Kurotani T, Oga T, Noguchi J, Isoda R, Nakagami A, Sakai K, Nakagaki K, Sumida K, Hoshino K, Saito K, Miyawaki I, Sekiguchi M, Wada
K, Minamimoto T & Ichinohe N. Functional and molecular characterization of a non-human primate model of autism spectrum disorder shows similarity with the human disease. Nature Communications (2021) 12, 5388.
カジノ オンライン 部紹介
微細構造カジノ オンライン 部
微細構造カジノ オンライン
部／一戸紀考 部長
【カジノ オンライン
部ホームページリンク】
神経カジノ オンライン
所
//www.researchhollywood.com//www.researchhollywood.com/neuroscience/
神経カジノ オンライン
所 微細構造カジノ オンライン
部
//www.researchhollywood.com//www.researchhollywood.com/nin/guide/r_mic/index.html
▼NCNP内連携組織リンク
記事初出
「Annual Report 2021-2022」（2022年12月発行）
＞広報誌
※職員の所属情報は2022年9月1日現在のものです
